いつも「巷でひろった健康談義」お読みいただきありがとうございます。
誰もが興味あるであろう「健康」についての話を中心に
ビジネスや時事や昔話などを語っております。
一人でも多くの方の何かしらの力になればと思います。
新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくご愛読いただければ幸いです。
新年最初のテーマは干支の「牛」についてです。
おそらく多くの方が実物を見たり
肉を食したり、牛乳や乳製品もお馴染みでしょう。
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巷でひろった健康談義 Vol.352
〜見たり、聞いたり、読んだり、そして体験して知った健康とは〜
発行者:おくむらよしみ 2009年 1月 8日発行
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◇◆◇ 2009年丑年に思う ◆◇◆
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〜200年の漢字「変」にみる世相の変化〜
(良い変化を期待する2009年「貧」にならないよう)
〜人類に最も貢献した家畜の牛〜
(丑年は波乱の年回り)
新しい年を迎えました。本年もよろしくお願いいたします。
さて、今年の干支は丑(うし)、家畜でおなじみの牛です。
丑年はよく波乱の年といわれます。ことに経済的にいろいろ問題が起きる年としての印象が
あります。
月日から言いますと晩冬(寒冷)、時間は午前2時から3時(草木も眠る丑三つ)、
方角は北北東(鬼門)、木々の種も芽も内部で縮こまって伸びていない状態、
こんな印象が丑年の気配です。
12年前の1997年の丑年は、たしかバブルがはじけ、金融危機が起きた年で、
山一證券や北海道拓殖銀行などがつぶれ、中小企業も倒産の嵐が吹きまくった年と
記憶しています。
今年もご存知のように、アメリカ発の世界的景気後退は、百年に一度と言われる大恐慌を
起こすでしょうし、それがため日本の経済的打撃は大きく、企業の倒産はもとより、
街には失業者があふれる、深刻な年になると予測する専門家が多いです。
だからといって動物の牛に責任があるわけではありませんが、暦の回り合わせで来る
好不況のリズムが、どう言うわけか丑年に厳しい年が当たるわけです。
それを乗り越えるのが人間の英知でしょう、そんな機運が昨年の代表的な印象漢字「変」
となったと思います。
この「変」は実際は今年の機運であって、大きく世の中が「変化」すると思っている人は
多いはずです。
政治も物の価値観も、社会制度のシステムも、環境浄化も食の安全も、今年をスタートの
年として、大きく変わっていくことを期待しますし、また変わってもらわないと、日本丸が
沈没しかねません。
これらの変化については、後日折に触れまとめましょう。
私は若いときから、農業と畜産に関係してきました。牛についても子供の頃から馴染んで
いますし、前に勤務した商社では畜産部のマネジャーとして牛、豚、鶏などの種家畜を
取り扱っていました。
現在も、畜産用の抗生物質に変わる生菌剤、天然の腐植有機酸、飼料の有効利用を図る
発酵飼料などを、農家や畜産業者に販売している関係上、鶏をはじめ豚、牛の生態や
産業としての情報はかなりくわしく研究しています。
そんな知識の一端で、家畜としての牛についてのべてみたいと思います。
牛と人間の出会いはかなり古く、今研究できる範囲内でも、約6000年から8000年
前頃から関係があったとされています。
3000年前頃の遺跡に、牛のレリーフが残されていますし、エジプトの遺跡には牛の乳を
搾る図柄もあります。
ことに家畜としては、肉だけでなく牛乳の存在も大きかったと思われます。
人間に飼育されている代表的な家畜は、馬、牛、豚、羊、ヤギ、鶏などですが、その中で
胃袋4個持っている反芻動物の牛、ヤギなどが、豊富なミルクを生産しますので、
そのミルクの利用が人間の成長と食生活に大いに役立ったので、牛の貢献度は高いです。
日本にも6世紀頃から平安期には、牛乳から採った食べ物「酪(らく)」「蘇(そ)」
「醍醐(だいご)」の記述があります。
酪とは今で言うヨーグルトのことで、乳酸菌発酵の牛乳です。蘇はバターで醍醐はチーズの
ことです。チーズは貴重で美味しかったのか、味の極意として醍醐味(だいごみ)なる
言葉が今でも使われます。
ご存知のようにその後仏教の影響で、牛は肉や乳生産の家畜としてよりは、労働力目的の
役牛として飼育され、平安の都大路をゆったりと歩む牛車(ぎゅうしゃ)の絵画は、
牛と日本人を語るときの重要な時代考証です。
(後半へ続く)
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(後半始まり)
私の子供の頃、農家では朝鮮牛という赤牛を飼っていて、学校の帰り道この牛ぐるまの
荷台によく乗せてもらい帰宅したものでした。
東北地方や信越地方は、農耕には馬が多いようでしたが、私が育った相模の国は牛が
農耕に使われ、農作業の主役でした。
赤牛の代表朝鮮牛は、性質がおとなしく、力持ちで農耕や荷物運搬に最も適したのでしょう。
現在、牛はミルクを採る酪農と、牛肉を生産する肉牛産業に二分されています。
しかし養鶏のように、卵を取る採卵養鶏と、肉のブロイラー養鶏ほどの開きはなく、
酪農と肉牛飼育はある面一体化しています。
乳を搾乳するには、子供を生ませ哺乳のために牛乳を生産する、それも子牛が飲みきれない
ほど生産するからそれを人間が頂く、そこで牛は人工的にも絶えず妊娠出産を繰り返し、
ミルクを生産させられるのです。
生まれた子供が全て雌ではなく雄もいます。その雄は肉牛として育てられます。
ただし肉質と美味しさから、日本では黒毛和牛が肉用牛の本命で、ミルク目的の牛は
国産牛との表示で、和牛とは呼ばれません。
黒毛和牛の種牛も、同じよう妊娠出産を繰り返すし乳も出しますが、ミルク専門牛ほど
ではありません。またその子は肉牛としてしか育てられません。
乳を生産するに適した種類は、ホルスタインという黒い大きな斑点が目立つ大型牛で、
飼育頭数全体の90%がこの牛です。そのほか赤毛のジャージー種、赤白まだらの
ガンジー種、放牧に適したブラウンスイスなどがいます。
いずれにしろ明治以降に日本に入ったもので、それも第二次大戦後、食の洋風化に伴い
大幅に伸びたものです。
現在は乳牛の改良も進んで、ホルスタイン種で1頭あたり年間6000〜8000kg
平均のミルク生産をしますし、多い日にはなんと20000kgにもなるものもいます。
乳の価格は政府が管掌して決める面があるように、需給バランスが難しく自由市場に
しますと、価格の乱高下で構造的に不安定な産業になります。
生産が増加してもそれを消費する市場はすぐには増えず、まして加工乳の原料や乳製品の
バター、チーズが安い輸入物に占有される影響で、余った牛乳は捨てざるを得なくなります。
その無駄をなくすため、生産調整で頭数を何度となく削減しました。ところが一向に
生産量が減りません。
それは、1頭あたりの生産量を増やす管理や、育種改良で搾乳量の多い牛に切り替えた
からです。
ご存知の方もいるかもしれませんが、いま日本では牛の繁殖は全て人工的です、
人工授精です。雄牛と雌牛が自然交配することはありません。
ですから、優秀なオスの系統の精液を取って、搾乳量の多かった雌牛を選別し、その牛
のみを受胎させ子牛を生ませる、選抜育種方法が出来ます。その反復を繰り返しますと、
血統的に優秀な大型で、搾乳量の多い牛だけが残ります。
さらに進みますと、優秀な雌牛に排卵促進のホルモンを使用し、受胎させますと、
受精卵胎児(エンブリオ)が同時に5個、6個と出来ます。そのエンブリオ(Embry.o)を
子宮から取り出し、別の普通の牛5〜6頭のお腹にそれぞれ着床させますと、280日目に
一遍に5頭6頭の兄弟姉妹が、それぞれの借り腹から生まれ出るのです。
この借り腹をドナー(提供者)といいます。またこの作業方法をETと言いますが、
SF映画のETとは違い(Embryo Transfer)胎児移植の略です。
このエンブリオも精液も、液体窒素の容器の中で凍結させておきますと、何ヶ月、何年後に
なっても溶解して使用できますので、生物科学の力は驚くべきです。
もう一段と進みますとクローン牛となります。これは体細胞を結合させ、文字通り
試験管ベビーです。この肉は普通の牛肉と変わりないと、農水省yや食品安全委員会は
許可の運びになりますが、大衆の反応はどうでしょうか。
ただし上等な牛肉を、安く大量生産できる手法と、期待してる面もあります。
いずれにしろこれらの牛は、戸籍がはっきり登録されます。何処の種牛の精液か、
雌はどれか、生まれた場所は、その後の飼育所は、餌はどんなもので育てたか、
ワクチンは、薬は、これらの記録は全て鮮明にされます。
これをトレサビリティー(履歴追跡)と言いまして、この牛肉がBSEに侵されていない
証明にもなります。そのため牛は、耳に登録番号が印字されたタグをどの牛も取り付けて
います。
ところで、アメリカの生産システムの放牧では、必ずしも人工交配でなく、広い原野で
牛同士が恋を語り愛をはぐくんで、自然に結ばれ子供が出来ます。その父親は誰か
飼育者にはわかりません。
トレサビリティーが出来ません。BSEフリー(狂牛病なし)の証明が難しいです。
ただし20ヶ月以前ですとBSEは発生しません。ですから20ヶ月以前の牛肉に限って
アメリカ牛肉を許可しましょうとなります。
オーストラリアも同じ自然交配ですが、オーストラリアはBSE発生国ではありませんが、
アメリカはBSE汚染国です。ですからアメリカ牛肉の輸入は慎重になるのです。
これも食の安全から出たものです。
ところが同じことが、日本の黒毛和牛の輸出に、輸入国から規制を求められます。
それは日本がBSEの発症汚染国だからです。
さて牛乳産業の話題に戻しましょう。
よく新聞紙上などで、経営的に成り立たない酪農家の実態が報道されますが、たしかに
原料の乳価は労働生産性や栄養価値性から見たらものすごく安く、もっと高くてもよいと
思います。
原価に占める飼料コストが高いので、生産者は嘆きます、餌の価格変動で大きく経営が
左右される、可哀想な産業です。
皆さんもスーパーなどで牛乳の価格を見て安いと思いませんか。1リットル200円以下の
牛乳もあります。隣の棚のペットボトルの水が500ミリリットルで200円もするのに、
水より安い牛乳では、笑い話にもなりません。
生産過剰になった牛乳は、チーズ、バターの原料になりりますが、チーズバターは
輸入価格に圧迫されます。しかし日本産の牛乳の安全性は高く、どこかの国のメラミン
騒動など決してありません。
そんな背景からか、昨年は日本産のバターの逼迫も起きたようです。それは安心を買って
いるようなもので、地産地消の精神にのっとります。
牛肉も日本産の地産地消を推薦したいのですが、価格が高いことが難点です。その結果、
70%近い輸入牛肉が日本の市場に流れることとなっています。
西部劇のシーンではありませんが、広大な荒野で自然放牧で育てられた牛肉は、
一頭一頭手作りで育てる、日本の牛肉とは生産コストが違います。
ことに栄養価の高い濃厚な飼料で育てた日本牛肉の、柔らかな霜降り肉質の美味しさに、
草で育てた輸入肉はかないません。
ところが牛は、この草を、粗飼料を4個ある胃で蛋白質に変える独特な機能があります。
この機能があって家畜として最も経済的で、役牛としても人間に従順に従ったかわいい
家畜でした。
こんなかわいい牛ですが、「牛を馬に乗り換える」のろまから早いものに乗り換える
(早く転換しろ)とか「暗闇から牛を引き出す」物の進み方がおそい、などと牛の諺には
牛をたたえるものが少ないです。
「牛の歩み」というように、確実だけどものの進み方がおそいことは、場合によっては
正しいが、今年のような非常時的な経済、社会の状態のときでは、牛を馬に乗り換えるよう、
迅速にことを処理する必要もあります。
しかし「角を矯めて牛を殺す」ことになってはいけません。拙速は返って問題を大きく
こじらせることにもなります。
厳しさを乗り越えるには「牛の歩み」の方が無難かもしれません。
2009年1月8日
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